2008.6.28 〜甲斐駒ヶ岳黒戸尾根(2965.6m)〜

甲斐駒ヶ岳の展望へ

ルートマップ
標高差/累積標高差:2180m/2408m
登山口:竹宇駒ヶ岳神社
駐車場:北杜市営尾白渓谷駐車場(無料)
登山時間:駐車場-山頂-駐車場。9:51、単独行
登山行程
2342埼玉自宅-0138/0308駐車場-0418横手・白須分岐点-0508刃渡り-0522刀利天狗-0548五合目小屋跡-0625七丈小屋-0706八合目御来迎場-0733三本剣-0803/0843甲斐駒山頂-0917八合目御来迎場-0941七丈小屋-1014五合目小屋跡-1045刀利天狗-1154横手・白須分岐点-1259駐車場-1500埼玉自宅

なぜこの山?
F1の世界で鈴鹿サーキットが「SUZUKA」で通用するのと同じように、今や甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根は「KUROTO」で通用するぐらい世界競技人口約1名のスーパートレイル界では有名だ。

普通の登山の世界では「日本三大急登」として、ただただつらい登山道を登る。普通であれば、途中の七丈小屋に宿泊し、一泊二日ぐらいのコースである。しかし自称スーパートレイラーにとっては、このコースは当然「日帰り」のコース。

うりうは今まで「アルプス」に登山をしたことはない(北・中央・南、全部)。どうしても、なるべく早く「アルプス」の登山をしたくてしょうがなかった。

以前よりこのコースは、当然おさえておかなければならないコースであったが、積雪、天気、家庭の都合で、なかなか実行に移せないでいた。当日も、天気予報は「曇りのち雨」であったが、どうしても「行きたい、行ってひどい目に遭いたい(何を考えている)」という欲望には勝てず、とうとう実行に移してしまった。

今回はコースタイム15:10(休憩なし)のところを、3:00駐車場-8:00/8:30山頂-12:00駐車場の9:00(休憩あり)で登る計画。しかし、実際は9:51もかかってしまった。

登山口までの移動
23:40埼玉自宅を出発。本来、その時間まで仮眠をしなければならなかったが、妻と雑談をしてしまい、一睡も出来なかった。入間ICより韮崎ICまで高速道路を使い、国道20号線を走る。甲斐駒ヶ岳黒戸尾根・尾白渓谷・竹宇(ちくう)駒ヶ岳神社の駐車場である「尾白渓谷駐車場」に1:38に到着。出発まで少々仮眠。3時少し前に起き出し、用意を始める。

登山記録
駐車場の横には「皇太子殿下御登頂記念碑」。

見てみると、七丈小屋に宿泊し、翌日に甲斐駒登頂、仙水峠へ抜け、仙丈ヶ岳へ登ったそうだ。あちこちにこのような碑があるので、皇太子は結構な回数登山をしているようである。

一般的に黒戸尾根経由で登る場合は、七丈小屋に一泊するのが普通の登山スタイルである。
トイレへ行く。(最近、トイレの写真が多い)

紙がありました。すばらしい。
3:08(0:00)、登山開始。

ここは「尾白渓谷」の方が、黒戸尾根よりも「売り」のようである。
しばらく歩くと「売店尾白」・・・売店をしろ?

他に気になるポイントが二つ。
一つ目は、電話番号の表記が市外局番が6桁だが本当?
二つ目は「セコム」の張り紙があるが、本当に加入している?
(ここに泥棒が入るとは思えないが)
少し先に「日向山矢立石登山口」の看板。

・・・と書いておきながら「矢立石登山口まで50分」と付け加えてある。

それであれば、ここは「日向山矢立石登山口」ではないぞ。
(わけわからん)
駒ヶ岳神社の前にご覧の看板。

甲斐駒ヶ岳の名前の由来は、健御雷神から生まれた天津速駒という白馬が住んでいたことからきているらしい。

天津速駒は存在したとしても、絶対に健御雷神から生まれたことはないであろう、「馬」から生まれたと思う。しかし「健御雷神」が馬の名前であれば納得が出来る。

(それを「伝説」というのですよ。いちいちケチをつけなさんな)
竹宇(ちくう)駒ヶ岳神社。

この社だけが、妙に新しい。最近立て替えられたのかもしれない。

少し迷う。ホームページで「吊橋」をわたっているシーンの記憶があるので、川の方面へ向かう。

吊橋を発見。

この吊橋はホームページでの記憶がある。
黒戸尾根登山道の看板。

これで間違いはない。
少し進むとご覧の看板。

黒戸尾根は左。尾白川渓谷道は右。尾白川渓谷尾根道は左。

尾白川渓谷へ行く人には、混乱をもたらす可能性の表記。

地図を持っているのでわかるが、尾根道は安全なエスケープルートとして整備されているようだ。
さらに進むとご覧の看板。

黒戸尾根は左。尾白川渓谷道は右。尾白川渓谷尾根道も右。今度は「神蛇滝」の表記が紛らわしい。

地図で確認すると「神蛇滝」は尾根道の30分ほど先にあるが、この表記をみると、ここに神蛇滝があるかと思い、探してしまう人もいるだろう。
すぐに七丈小屋の案内。

このような案内を設けていただくのは良いが、小屋への連絡方法の記載がないので、食事が食べられるかどうか微妙な時期は、確認できないので困るであろう。

値段の設定をみると・・・
一泊二食8000円、一泊夕食付き7000円、一泊朝食付き6500円、寝具付き素泊まり4500円、素泊まり3500円である。

つまり、ベースとなる一泊の料金が3500円、布団使用料金が1000円、朝食が2000円、夕食が2500円、夕朝食が4500円のところを1000円割引の3500円となる。

冷静に考えると「山の食事」は恐ろしく高い。

寄り道はこれぐらいにして、登山開始。

最初はご覧のような「普通」の樹林帯の登山道が続く。
4:18(1:10)、横手・白須分岐点に到着。

コースタイムは2:30。
(正確には駒ヶ岳神社からの時間であるが)
この頃には夜も明け始める。
最初の「墓石?」発見。

このあと、大量出没するので珍しくもなんともなくなる。
徐々に岩混じりのコースに変わる。

下りは岩がないほうがよい。
5:08(2:00)、刃渡りに出る。
(英語での「ナイフリッジ」のことですね)

両側が切れ落ちている。落ちていることを意識しなければ、さほど怖くはない。
どれどれ、崖をのぞいてみようかな。

わ〜見てしまった。メチャクチャ落差があるではないか〜
こわいコワイ。
(写真ではわかりにくいが)

崖を見てしまったので、ビビリながら刃渡りを渡る。(全長50mぐらいかな)

刃渡りは景色が開けている。

鳳凰山が雲の上に浮かんでいる。
刃渡りからはアスレチック気味になる。

階段が「壊れるかも」と思うと、恐怖心が出てくる。
(すごいビビリ症)
階段・ロープ・鎖があるコースを登りきると・・・
5:22(2:14)、刀利天狗に到着。コースタイムは4:30。

ビビリ症の影響が出て、タイムが落ちる。
刀利天狗からもアスレチック気味の登りが続いた後は、下りが始まる。

せっかく登ったのに下るなんて、モッタイナイ。
5:48(2:40)、五合目小屋跡に到着。コースタイムは5:50。

少しタイムを縮める。
五合目小屋跡からは甲斐駒「九合目」を見上げることができる。

残りのコースタイムは3:40、標高差は約800m。

右のピークが六合目。左のピークは八合目。山頂は九合目を越えないと見えません。

激しく遠く感じる。
登山道はまだ下る。

もう下らないで。
振り返ると「下山道」。

下山道が登りなんて、なんのこっちゃ。
(と100/100人思っているだろう)
下りきったところが、屏風小屋跡。

正面全体が「屏風岩」という大岩壁である。

ここから右の道から激しいアスレチックが始まる。
振り返ると「黒戸山(2253.7m)」。

ここの山頂は通っていないが、中腹から100mぐらい高度を落としてしまった。
屏風小屋跡からはご覧の長〜い階段。

階段・ロープ・鎖地帯の始まりだ。
急角度の登山道を登りつづける。
途中で花を見つけた。

名前は・・・当然知らない。
いったん激しい登りがおさまったあと、少し下り、ご覧の橋。

隙間だらけで、ちと怖い。
ここからは、正面に「七合目」が現れる。

左が「八合目」、正面奥が「九合目」。
七合目へ向けて、またまたアスレチック。
最後の締めは垂直の崖。

鎖を使わず登れますか?、登れる人は教えてください。
(当然、荷物せおってだよ)
6:25(3:17)、七丈小屋に到着。コースタイムは7:00。

少し休憩。

ここに一泊するのが普通であるのはなんとなくわかる。

ちなみに左の山が八合目、奥の山が九合目。
ここからは鳳凰山が見える。
セルフタイマーで撮る。

今回の格好は雨を前提にした。下が濡れてもいいようにと思い、冬用のランニングウェアーにしたら、蒸れてしょうがなかった。

登り始める。

少し進むと七丈第二小屋。

当然有料です。
キャンプ指定地。

来た時は一張のテントがあった。
少し登ったところで振り返る。

雲海に浮かぶのは黒戸山。この稜線を歩いてきた。
八合目手前からはハイ松の世界に変わる。

ここからは展望を見ながらの山歩き。
しかし、きついので眺めながら歩く余裕はない。
7:06(3:58)、八合目御来迎場に到着。コースタイムは8:00。

一番左のピークが山頂のように見えるが違う。
(あとでその正体をお見せします)

九合目は、はっきりとした場所はわからないが、三本剣付近である。
ここから初めて、北岳方面をみることが出来る。
八合目からアスレチックが再開。

おお・・・山にやられてしまう。
岩を登りつづける。

激しく疲れる。ここら辺でこの登山の「後悔」が始まり、自分のことを「見上げたバカだ」と思うようになる。
7:33(4:25)、三本剣の下に着く。

鳳凰山の後ろには富士山も見える。

曇りの予報は平地限定だったのか?
少し進むと大学生のグループが休憩していた。
(多分ここが九合目)

聞いてみると、七丈小屋にテント泊していたそうだ。荷物重さは20kgで「これぐらい慣れますよ」だそうだ。
(少なくとも息子を背負うことは永遠に慣れない)
少し進むと、ここでやっと山頂が見えてきた。

右のピークが山頂で、その左のピークには駒ヶ岳神社本社がある。
左に目を移すと・・・

八合目で「山頂」に見えていたものがコレ。
7:56(4:48)、駒ヶ岳神社本社に着く。

普通は本社がふもとにあり、奥社が山頂にあるが、
これは逆である。
軟禁されている銅像を発見。

説明がないので、これがなんなのかわからない。

軟禁状態から開放してあげると、泥棒扱いを受けるので何もしない。
振り返ると八合目や三本剣が見える。

黒戸山などは雲に隠れてしまった。雲が明らかに上昇してきている。

もうすぐ曇りそうだ。
山頂にある社が見えた。

少し下って登る。
白砂の道が現れる。

斜面では崩れて歩きにくい。
下には摩利支天が見える。

雲が湧き上がってきている。

念のためここで見える山全部写真を撮る。
(山頂でガスったら悔しいので)
8:03(4:55)、甲斐駒山頂に到着。コースタイムは9:30。もう少し急げば半分で登れた
(タイムトライアルでないのでいいけどね)

景色を見るとみるみる曇っていくのが良くわかる、あわてて景色の写真を撮る。やはり「曇り」の予報は正解だったようだ。

展望はこちら

景色はとてもすばらしい。ガスるまでしばらく景色を眺める。
(結局約40分山頂にいた)

南西方向。

鳳凰山の後ろに富士山が見える。

この後、鳳凰山は見えなくなった。
南方向。

北岳、間ノ岳。

奥には塩見岳、悪沢岳も見える。
仙丈ヶ岳。

手前の山は双児山。

北沢峠から登る時はここを通る。
西の鋸山方面。

ここから登山道が伸びているが「危険」らしい。
途中で追い抜いた大学生の集団。ここから、北沢駒仙小屋へ向かい、一泊後、仙丈ヶ岳へ登るそうだ。

明日は絶対「雨」だが大丈夫であろうか。

少々「お菓子」をいただく。

ちなみに校歌の練習をしていたが、早稲田〜早稲田〜と歌っていたので、ほぼ確実に「早稲田大学」。
(これで違っていたらサギだぞ)

下山する頃には「山頂」はガスに包まれた。

8:43(全行程5:35, 下山0:00)、下山開始。

9:17(6:09, 0:34)、八合目。コースタイムは0:50。

ここで「トレラン男」とすれちがう。

めちゃくちゃ速い。
9:41(6:33, 0:58)、七丈小屋。コースタイムは1:30。

足先の痛みのため、コースタイムの半分から遅れ始めた。

ここで「日帰り登山挑戦」の初老男性二人組とすれ違う。朝4時に出発したそうだ。ここまで5:30ぐらいかかったことになるが、コースタイムが7:00なので、このペースを守っても夕方になってしまう。

ちなみに昨年は八合目で引き返したそうだ。
(今年もそうなるのは、ほぼ確実)

ちなみに「日帰り黒戸尾根」と思われる人(荷物などの状況から判断)は、上記の男性二人組を含めて9名とすれ違ったが、確実に往復可能な速度を持っている人は4名、帰ってこれる可能性がある人は2名、3名は絶望的な状況であった。本日は山では午後には雨が降る可能性が高いので、当日の成功率は半分程度と思われる。

下りの階段・鎖・ロープは下りでは登りよりも怖い。

へっぴり腰になりながら慎重に下りる。

しかし足を滑らせて左腕に擦り傷をつくってしまった。

傷口を「消毒」のためになめる。すると口の中に泥がはいり「ぺっぺっぺっ」。

10:14(7:06, 1:31)、五合目小屋跡に到着。コースタイムは2:10。

ますます遅れが出始める。

足の痛みと疲労で動きたくなくなる。ここから黒戸山への100mの登り返しがきつい。
10:45(7:37, 2:02)、刀利天狗に到着。コースタイムは3:00。

登りは足先の痛みが出ないので少しよい。

しかし、ここでも動きたくなくなる。
11:31(8:23, 2:48)、刃渡りを通り過ぎて普通の登山道下りのなんてことない所に、へたりこむ。

足先が痛くてまったく歩けない。
へたりこんでいると、八合目ですれ違った「トレラン男」が追い抜いた。

聞いてみると山頂へいったらしい、あっという間にいなくなった。

再び歩き始める。今まで、これほどひどい「拷問」を味わったことはない。

11:54(8:46, 3:03)、横手・白須分岐点に到着。コースタイムは4:10。

非常に遅い。

足が「棒」になったのではない、足が「でくのぼう」になったのだ。
(結局同じか・・・)
12:23(9:15, 3:40)、もうだめだ最終兵器「トレッキングポール」を使おう。

これは「非常事態」限定で使用するつもりであったが、現在は非常事態だ。

トレッキングポールを使用すると、とたんに小走りできるようになった。「トレッキングポール」と「足」がみごと「コラボレート」した。
(最初から使っておけばよかった、我慢したのがアホみたいだ)

12:52(9:44, 4:09)、橋に戻る。

結局、トレッキングポールを使ったのは最後の30分だけ。
橋から上流をみる。

上流は尾白渓谷だ。
立派だが、駒ヶ岳神社「本社」ではない。
社をのぞきこんでいる人がいる。

賽銭泥棒か?
12:59(9:51, 4:16)、駐車場に到着。コースタイムは5:40。

「コラボレート」させるのが少し遅すぎたので、コースタイム15:10(休憩なし)のところを64.9%の9:51(休憩あり)となってしまった。

そのまま家へ帰り、15時ジャストに到着。帰ってくるやいなや妻が家から脱出し、買い物へ。

夕食は家で「豚のしょうが焼き」。

今回登山で学んだこと
・さっさとトレッキングポールを使っておけばよかった。
・すぐに靴を買い換えよう。(翌日靴を速攻で買った)

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